見夢録: 2016年10月01日-12月31日

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日録■2016年10月01日-12月31日

■2016年10月01日 00:56
【かけら】
(“12″についての覚書)
――Nikita Mikhalkov『12人の怒れる男』

また、このロシア軍将校が少年の母親の背後で機嫌のいい様子で映っているシーンがあるが、左の柱の陰にわずかに父親のシャツの背中が見えるので、たしかに叔父なのかもしれないが、若い母親のうきうきした表情からなにかしらの関係がうかがえるのもむべなるかな。
また、このあたりの回想シーンに陪審員の一人の「ロシア軍が家族を襲撃し、叔父が少年の親を殺害し、その仇をとったのではないか」という憶測があるが、これもそのへんの事情を匂わせるものであろう。

2016年10月01日 13:06
【かけら】
Super-string Scope (5/5), 2010.12, oil on canvas, M20×5(72.7×303cm)
Super-string Scope (5/5), 2010.12, oil on canvas, M20×5(72.7 × 303cm)
⇒Works

■2016年10月02日 09:24
【かけら】
(“12″についての覚書)
――Nikita Mikhalkov『12人の怒れる男』

最後で、少年の回想ショットで犯人らしき人物がでてくるが、これも「元将校」が少年を守るという言葉の証明、つまり事件の解決があるので少年は殺されないという後付けのようなものだ。
さらに、母親、父親、叔父の名前を確認させ、元将校の陪審員の名前、さらに犯人の姿を確認させるというくだりもあらかじめミスリードの種をばらまいてから、種明かしをするための確認を迫るようで、あまりいい手口ではないとも思う。

■2016年10月14日 18:04:
【かけら】
睡眠障害から回復したのか?

■2016年11月10日 13:10
【かけら】
回復状態をみるために、見夢録の追加作業を行った。集中力は少し改善している。
まだ不快感は残るが、睡眠も取れている。
薬剤は用いないで、せいぜいゆるやかな自己コントロールなのだが。

■2016年11月24日 19:54
【かけら】
国家を超える、新鮮なコンセプト!!
以下のメールが届いたのだが、これは恐ろしく先端的な世界概念である。
Airbnbのビジネスはともかく、若い世代の可能性はここまで広がっているのかもしれない。
———————————————-
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Brian Chesky
Airbnb共同創設者兼CEO
Airbnb

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見夢録: 2016年09月01日-30日

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日録■2016年09月01日-30日

■2016年09月01日 07:20
【かけら】
(『豚と軍艦』についての覚書)
――今村昌平『豚と軍艦』

また、強いヌーベールバーグの影響がある。現実を客観的に把握するということと、その醒めた目で路地、海辺、船着場、裏通りの飲み屋、売春街、軍艦のある波止場、横須賀駅などが捉えられる。

2016年09月01日 07:30
【かけら】
KL20150514, Akira Kamita, Acrylic, A3, KL
KL20150514, Akira Kamita, Acrylic, A3, KL
⇒Works

2016年09月01日 13:34
【かけら】
(『豚と軍艦』についての覚書)
――今村昌平『豚と軍艦』

しかし、コメディということもあるが、すべての役者の演技が日本的な名演技で、このあたりがフランスやイタリア映画の虚無的な描き方と違って、独特の味のある日本映画となっている。
その分は新しい映画ということではなく、戦前から続く日本映画の諧謔と奥深さなのだろう。

■2016年09月02日 08:30:
【かけら】
(『豚と軍艦』についての覚書)
――今村昌平『豚と軍艦』

それにしても、独特の巧い演技をし、それぞれに強い存在感のあるすばらしい役者がこんなにごろごろいたとは。コメディタッチの演技は、日本人役者が世界一かもしれない。

2016年09月02日 18:38
【かけら】
(『豚と軍艦』についての覚書)
――今村昌平『豚と軍艦』

ところで、欣太と春子のおしまいのラブシーンで、ジェルソミーナのテーマのようなメロディが流れていた。
しかし、これもフェリーニの「道」とは反対に、絶望の中の希望ではなく、希望の中の愛のようだ。

■2016年09月03日 15:22
【かけら】
(『豚と軍艦』についての覚書)
――今村昌平『豚と軍艦』

ラストでの春子の強さは、やはり独特のものだろう。
この欣太亡き後の春子のシーンは、当時の急速に回復する日本の状況と無関係ではない。製作者の中に、立ち向かっていく強靭さがあるのだ。
また、長門裕之の演技は特に優れている。こんなに巧かったのかと、いまさらながら感心した。

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寄稿: 佐藤裕子「空白」

空白 佐藤裕子

無人の通りの一日を午後三時で終いにする疲れ切った太陽
 後ろは前を忘れず定時の飛行機を報せる電線トリル
少し気を取られると全く知らない貌が出来上がる鏡を覗く
 薄墨に浮き出る尾が長い猫は腹這いで地熱を蓄える
濡れもせず乾きもせずいつもそうしていたのか誰かが屈む
 擦りガラス越しに映る細面早い日暮れに予兆はなく
迎える見送る表情は推し量れず鎖を掛けた戸口に佇む妊婦
 腹帯の下で臍が開く嬰児はいつ何処からやって来る
深く浅く腰を下ろし正面を向く二人が居る縁の欠けた階段
 櫛目が見えるはずもないのに整髪後だとわかる頭部
売家の札を背後に立ち尽くす人の鞄は集会の案内で膨らむ
 暗い手許で固まった上体庭仕事は始めると際限なく
砂色の塀に寄り掛かる散歩者の手編みベストはフエルト状
 夕刊はまだ来ない郵便配達はもう来ない夜寒い新月
ゆるゆるとコンニチハは誰とも関れない文字を書いた紙屑

(2016.11.15)

見夢録: 2016年08月01日-31日

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日録■2016年08月01日-31日

■2016年08月02日 00:05
【かけら】
acrylic on paper, 267 x 384mm, 2014.6., KL
acrylic on paper, 267 x 384mm, 2014.6., KL
⇒Works

2016年08月02日 00:15
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『サテリコン』

エピソードには、サーカスの要素が満遍なく鏤められ、また肉体賛歌からくる、肥満、畸形、エルマフロジットなど、めくるめく天国とも地獄ともつかぬ人体劇が展開される。

2016年08月02日 12:39
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『サテリコン』

もちろん、舞台は贅沢にも遺跡や石造りの邸宅など、生唾を呑み込むような絢爛さだ。
ストーリーやつながりなどに惑わされる必要もない。画面、場面が圧倒的な芸術なのだ。
造形力と想像力、まさにフェリーニの天才の勝利である。

2016年08月02日 14:39
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『サテリコン』

ところで、作品中に般若心経の読経が流れたり、アジア的な楽器や音楽がかなり使われていたようだが、中東からアジアへの関心が、カトリシズムに対置させるような意図があったのだろうか。ニーノ・ロータの音楽はそのような意味で興味深い。

■2016年08月03日 09:58
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『フェリーニのローマ』

フェリーニの、ローマへの愛の賛歌ともいえる。
また、映画とは芸術であるからすべて断片であり、すべてが総合化されるのは個々のシーンの全体的な把握においてである。
そのような意味で、ドキュメント的な手法は独立した断片を扱うのであるから、重要な方法となる。

2016年08月03日 10:06
【かけら】
PP20150615, Akira Kamita, Acrylic, Ballpoint pen, A3, PP
PP20150615, Akira Kamita, Acrylic, Ballpoint pen, A3, PP
⇒Works

■2016年08月04日 11:58
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『フェリーニのローマ』

もちろん、このドキュメントは単に現実の出来事に限定されているのではない。
『ローマ』の場合、フェリーニの回想から始まる思いつき、幻想化、妄想化、ローマという古代都市・現代都市が生む幻想と妄想のイメージ化、さらにそこから生まれるフェリーニ自身の独特の奇想、幻想、妄想、あるいは思想的、政治的な感覚、日常的な生活感覚などがその骨格をなしていく。

■2016年08月05日 10:50
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『フェリーニのローマ』

この映画のいたるところが、とても懐かしい匂いと息づかいに蔽われている。アパート前の路地に広がる喧騒の食事光景など、肉感的にとてもなつかしく、そこに浸りきりたいような感覚が生じる。

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寄稿: 佐藤裕子「天気雨」

天気雨 佐藤裕子

劇薬を盛り刀身をなぞるなぞった滑らかな飴色の指に触れ
 平衡に保たれた水位を覗く蝋の薔薇石骨化した波紋
結晶石は起爆を続け水言葉火言葉雪言葉その姿態それら声
 鉄火の甲冑と硝子の皮膚が幾度交差して幻像は縺れ
手の窪みで包んだ手の窪み思い出せば壊れ物を納めた震え
 練り香水が耳朶から離れ鳥獣の性で塒を目指す窓辺
越冬を始める枝影はステンドグラス踊る節足動物の写し絵
 餌壷にエーテル炎天の翼を畳む星明かりには通り雨
停泊する無風は塩を晒しひとつひとつの椀に微量を寝かせ
 月光を掬う夜の為に仄蒼い花片を贈り届けた雨垂れ
計器のない根無し草が海から上がり時の縁語で彷徨う上下
 嬰記号は紅潮し満ちる月と潮流と連絡する高まりへ
紅唇は喉を開き捲れ永遠と云う鍵の掛かった少年達を眺め
 熱は軽軽と軀を放ちトランスした回線が大きく攣れ
願いを積む高層か埋葬の深海から来た亡霊のように傾いて

(2016.11.15)

寄稿: 佐藤裕子「日誌」

日誌 佐藤裕子

既視は何処から聖像から頭陀袋の口を締め邪気のない笑み
 近付く距離を退く小魚の回遊失せた焦点を掠めぬ類
気取った仕草で珠を磨くように徒に掛ける暗示掛かる暗示
 日日変わる標識を見逃す不注意から尋問される異人
疑似餌には跳び付いても許さぬ心根飼育ならば怖怖手探り
 勢い付く頬擦りで耳打つ履歴日記が省く新手の呪い
律儀に左右の頬擦りを返すと汚水上を群れる綿埃は拡散し
 ギシギシと天蓋が回り頸を押し壁に食い込む三日月
凝視を黒く塗る悪い言葉最愛と怖れは手擦れた硬貨の表裏
 身動ぎもせず通過を待つ生まれつき獏は悪夢喰らい
耳が邪魔で耳を捥ぐ煮え湯で縮む軟骨耳が無ければ口無し
 自動的な頷きに作動する信号僅かな嘔吐に蒼い血糊
喋り疲れ止まる車輪の下敷きで風に吹かれ夢想する野晒し
 憧憬の贄が劣化して荒ぶ乾期発火しやすい有毒気体
暫しその姿勢何も無くなりもっと何も無い処へ行くがいい

(2016.11.15)