作成者別アーカイブ: 紙田 彰

見夢録: 2016年08月01日-31日

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日録■2016年08月01日-31日

■2016年08月02日 00:05
【かけら】
acrylic on paper, 267 x 384mm, 2014.6., KL
acrylic on paper, 267 x 384mm, 2014.6., KL
⇒Works

2016年08月02日 00:15
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『サテリコン』

エピソードには、サーカスの要素が満遍なく鏤められ、また肉体賛歌からくる、肥満、畸形、エルマフロジットなど、めくるめく天国とも地獄ともつかぬ人体劇が展開される。

2016年08月02日 12:39
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『サテリコン』

もちろん、舞台は贅沢にも遺跡や石造りの邸宅など、生唾を呑み込むような絢爛さだ。
ストーリーやつながりなどに惑わされる必要もない。画面、場面が圧倒的な芸術なのだ。
造形力と想像力、まさにフェリーニの天才の勝利である。

2016年08月02日 14:39
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『サテリコン』

ところで、作品中に般若心経の読経が流れたり、アジア的な楽器や音楽がかなり使われていたようだが、中東からアジアへの関心が、カトリシズムに対置させるような意図があったのだろうか。ニーノ・ロータの音楽はそのような意味で興味深い。

■2016年08月03日 09:58
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『フェリーニのローマ』

フェリーニの、ローマへの愛の賛歌ともいえる。
また、映画とは芸術であるからすべて断片であり、すべてが総合化されるのは個々のシーンの全体的な把握においてである。
そのような意味で、ドキュメント的な手法は独立した断片を扱うのであるから、重要な方法となる。

2016年08月03日 10:06
【かけら】
PP20150615, Akira Kamita, Acrylic, Ballpoint pen, A3, PP
PP20150615, Akira Kamita, Acrylic, Ballpoint pen, A3, PP
⇒Works

■2016年08月04日 11:58
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『フェリーニのローマ』

もちろん、このドキュメントは単に現実の出来事に限定されているのではない。
『ローマ』の場合、フェリーニの回想から始まる思いつき、幻想化、妄想化、ローマという古代都市・現代都市が生む幻想と妄想のイメージ化、さらにそこから生まれるフェリーニ自身の独特の奇想、幻想、妄想、あるいは思想的、政治的な感覚、日常的な生活感覚などがその骨格をなしていく。

■2016年08月05日 10:50
【かけら】
(Felliniについての覚書)
――『フェリーニのローマ』

この映画のいたるところが、とても懐かしい匂いと息づかいに蔽われている。アパート前の路地に広がる喧騒の食事光景など、肉感的にとてもなつかしく、そこに浸りきりたいような感覚が生じる。

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寄稿: 佐藤裕子「天気雨」

天気雨 佐藤裕子

劇薬を盛り刀身をなぞるなぞった滑らかな飴色の指に触れ
 平衡に保たれた水位を覗く蝋の薔薇石骨化した波紋
結晶石は起爆を続け水言葉火言葉雪言葉その姿態それら声
 鉄火の甲冑と硝子の皮膚が幾度交差して幻像は縺れ
手の窪みで包んだ手の窪み思い出せば壊れ物を納めた震え
 練り香水が耳朶から離れ鳥獣の性で塒を目指す窓辺
越冬を始める枝影はステンドグラス踊る節足動物の写し絵
 餌壷にエーテル炎天の翼を畳む星明かりには通り雨
停泊する無風は塩を晒しひとつひとつの椀に微量を寝かせ
 月光を掬う夜の為に仄蒼い花片を贈り届けた雨垂れ
計器のない根無し草が海から上がり時の縁語で彷徨う上下
 嬰記号は紅潮し満ちる月と潮流と連絡する高まりへ
紅唇は喉を開き捲れ永遠と云う鍵の掛かった少年達を眺め
 熱は軽軽と軀を放ちトランスした回線が大きく攣れ
願いを積む高層か埋葬の深海から来た亡霊のように傾いて

(2016.11.15)

寄稿: 佐藤裕子「日誌」

日誌 佐藤裕子

既視は何処から聖像から頭陀袋の口を締め邪気のない笑み
 近付く距離を退く小魚の回遊失せた焦点を掠めぬ類
気取った仕草で珠を磨くように徒に掛ける暗示掛かる暗示
 日日変わる標識を見逃す不注意から尋問される異人
疑似餌には跳び付いても許さぬ心根飼育ならば怖怖手探り
 勢い付く頬擦りで耳打つ履歴日記が省く新手の呪い
律儀に左右の頬擦りを返すと汚水上を群れる綿埃は拡散し
 ギシギシと天蓋が回り頸を押し壁に食い込む三日月
凝視を黒く塗る悪い言葉最愛と怖れは手擦れた硬貨の表裏
 身動ぎもせず通過を待つ生まれつき獏は悪夢喰らい
耳が邪魔で耳を捥ぐ煮え湯で縮む軟骨耳が無ければ口無し
 自動的な頷きに作動する信号僅かな嘔吐に蒼い血糊
喋り疲れ止まる車輪の下敷きで風に吹かれ夢想する野晒し
 憧憬の贄が劣化して荒ぶ乾期発火しやすい有毒気体
暫しその姿勢何も無くなりもっと何も無い処へ行くがいい

(2016.11.15)

寄稿: 佐藤裕子「迂回の渦」

迂回の渦 佐藤裕子

群れ成す木霊を引き連れて像は目覚める鍵盤を削る金属音
 不滅の時を東方に隠し方位磁針の置き場所は遺失物
踏み出し崩れる階段で由無し事に気を取られ戻れない転調
 海側の窓越しは欠け落ち汚水が迸るジグソーパズル
苦し紛れに息を止め錆浮く爪を噛む癖が病んだ現身を照合
 蓋が閉まらない小箱は色取り取りの操り糸に事欠かず
歪む五線に乗り上げたピアノピアノ線を恐怖する大型バス
 迂回し迂回迂回の渦攣る指を広げオクターブの絶叫
ゆらり霧中を進む失踪説急ブレーキで審判図を焼くバイク
 曇ったガラスの鉤裂きは何処までも捲れて行く幼年
粉末ミルクの缶にはそれを持つ少女が果てもなく存在する
 蝋燭の消える音を聴く次いで燐寸を擦る低空を見る
床で動く影絵硝子を抜け伸びる唐草銀の月と青い星の軌道
 向かい側から解体工事の唸り廃材を集めるショベル
暗闇に置いた眼を洗い水に落とした耳を拾い調和の後は無

(2016.11.15)

寄稿: 佐藤裕子「金婚式」

金婚式 佐藤裕子

潮騒から分かれたコーラスが天鵞絨を敷く緩い勾配を上り
 庭先で迎える親密な抱擁へ華やかな微笑を返す礼儀
いつもおきれいと言い交わす女同士の狎れ合いも挨拶の内
 写真はピアノの上音符を連ね大音量で進むムービー
短い受け答えに意味深な文句不意に瞳を覗く無意味な探り
 血のソースを糖分過剰にデザインする悪趣味な味蕾
親友と呼ぶ彼女に借りがあったギフトのリボンを結び直し
 耳に付くマリーの曲交流する声波長を重ね相似の漣
失念した杖の在り処を探すより彼が彼女の腕を取る自然に
 粋な計らいテノールがお気に召したら成り行き次第
情熱に不可欠な難所は約百日を経て例外なく安全な避難先
 日常化した不法投棄の海岸を眺める冬枯れの記念日
一張羅を貸し借りし一つのベッドで寝た姉のようなお友達
 未亡人の金婚式で夫役を果たした男は依然所在不明
招待状にあった住所はステッキが立つ更地又暫く会わない

(2016.11.15)