作成者別アーカイブ: 紙田 彰

緑字生ズ 024 (クレイオーよ)

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クレイオーよ
地球儀が欠けている
眼は半月だ
クルティウスの分類は
デルフォイを四つに分つ
人生の短促
乱心御用おまる割り
急行列車が塩の水に漬っている

緑字生ズ 023 (寂しい夕暮とセレナーデ)

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寂しい夕暮とセレナーデ
枕言葉に冷や死んす
美女の足下に
人も知らない秋の草本
ガラスのかかとが
荒れ野に埋っている

緑字生ズ 022 (たちもとおる)

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たちもとおる
君に会えたのも
月のモノのなせるわざ
そも梅のいらたか
幸せと不幸の返礼を思うだに
凍える心

緑字生ズ 021 (乱に曰く)

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乱に曰く
稲架も取り払われ
農夫も土地に埋れる
田の土は
凍った白夜

緑字生ズ 020 (銅鑼が鳴る)

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銅鑼が鳴る

メルポメネー
ああ 秋の深い湖
裸女の像が永遠を見つめる眼で
命を光らせている
また季節風が吹く

甲板に出て
貝殻でできたパイプを拾う
ここも去らねばならぬ
みちのくの旅は終りぬ

田沢湖の畔に
杉の木立が高い
収穫期の田園よ
恋に破れる夢よ
涙を流すものは罪深きものなり

乳頭山が湖面に漂う
無数のボートと
一箇の遊覧船
水底に沈んだ恋人よ哀れなり
雲の切れ切れに
センチメンタルが流れてゆく
カラスも冷えてゆく

青函連絡船は外洋にある
カムチャツカ半島よ、シベリアよ
いま航路は凍っているか

垂直なる託宣板をモーセの金かくしという