カテゴリー別アーカイブ: 雑体

雑体:00100 : (さかしまに)

(さかしまに)

さかしまに溶けゆく匂ひのラワンデル
美酒うまざけが立つ その日 その日よ!

芦川羊子に

[作成時期] 1980

雑体:00200 : 句 つらるゝ舞姫

句 つらるゝ舞姫
  ――土方巽の第一番の弟子にして、稀有の舞踏手・芦川羊子の誌上舞踏に寄せて

仕掛のある部屋 腰の流れ 物的な糸

つまづきつ 鉋に削らるゝガラスの箱

足首のダンサーの睡る花 曲線の ひぢ
耳よりの目と口 畳みかける今といふ病

骨になりぬべく踊るよ ほら精神!

(初出 詩誌『緑字生ズ』第5号/1985年12月刊/発行人・紙田彰 1985)
[作成時期] 1985/12

●詩誌『緑字生ズ』[第5号] 1985.12
表紙舞踏/芦川羊子(PDFリンク)
口絵舞踏/芦川羊子(PDFリンク)

題字 加藤郁乎
舞踏/芦川羊子
写真/田鶴濱洋一郎
装丁/紙田彰
1985.12

雑体:01000 : 句集 睡りつづけるものらよ

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(1981.1.1 札幌にて撮影 彰30歳、父・治一58歳)
(1981.1.1 札幌にて撮影
彰30歳、父・治一58歳)

句集 睡りつづけるものらよ
  ――1995年 父の看病日誌より

 
 
六月三十日
この闘ひ 送るべきは讃辞のみなり
生きてゐる限りは真実の命なり
 
 
 
七月一日
夢の話す夢は夢ではない
 
 
 
七月四日
起きてゐることも眠つてゐることもそのまま
 
 
 
七月五日
指の動きに指の夢あり
 
 
 
七月六日
光の届いてゐるに違ひない父の寐床
生命の破片を紡ぐ完璧な世界、魂は凝縮する
 
 
 
七月七日
夢の断片の持続、接続
無限の超論理

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〈解離手帖〉20010702: 吟行 7.2

吟行 7.2

花の名を 知るから花の香りあり
(バラの花壇での「花名」を見ること)

風を裂く 母の声にてはつとする
(母子の遊ぶさまの何に興を覚えるのかを自問してゐるときに若い母親があげたる声)

幼子の 頼りなき足もとよ
(人形じみた足もとよ)

花盛り 花のかんばせ重くして
折れんとするか花芭蕉
(重力に叛くがごとくの曲つた茎)

犬と人とは性的な臭ひがしてゐる
(犬を連れた散歩者の本質的な匂ひ)

バラの花壇に一本のひまはりの立つ
(色に力のあることに「をかし」)

橋桁の下でエクササイズする心理の暗闇
(隠れて球を橋桁に打ちつけてゐる少年の暗い思ひ)

潮にまつはる匂ひ
船着場の波打つ(ひきつる)水面
暑光(残光、鈍色の太陽が泛ぶ)

瞬間をとらへる絵よりも流れゆくものをうかがへ
(さゞ波の風の動きによつて生ずる波の稜線の向き、ぶつかり。交錯する瞬間はあるが、光と影にあふらるゝ時間の推移。)

鳥の飛び立つさま
斜めに疾りて
音たてて羽撃く

鳥の後背から飛びきたる
斜めに疾りて
滑空する

枝に陽光の差す
 重なつてゐる部分
 裏返つてゐる部分
 日の当たる部分
 あたらぬ部分
 夕陽の静かな光の
 通り抜ける道

日と光との関係
 隙間から光のしぶきが
 注いでくる

[作成時期] 2001/07/02

雑体:00300 : 自由なるかなはるかなり

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自由なるかなはるかなり
  (1989年初、パソコン通信PCSでのハイパーノーツによる試みから)
 
 
明けぬれば松の内なる日々の風
 
生成とは死を死ぬのでもないアメフラシ
 
あくればまつひとのこころのいとをかし
 
 
 
凍る雪 何もない何もない
 
凍る雪 ありうべきものの眠る夢
 
シベリアを 死ぬるといふなり アエロフロートの窓辺
 
むくむくむくむく立ち上がる北極点ゆきの氷に沁みる熱き薔薇
 
流氷に棲まふ水よ どこの春なりどこの夏なり 肌へはふるふ
 
 
 
番外
はたらけど 眠られぬ酒 FAXの前で
 
 
 
火の旅の糠雨に沈むモンパルナス
 
旅のさの火の霧雨と白き 墓碑(tombeau)
 
ボードレール サルトル 牡蛎のある街

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雑体:01600 : 公園

公園
  ――2007年10月29日の吟行から
 
 
蚊柱や 木洩れ日とよむ秋の空
 
蜘蛛の巣や 樹間の光にとゞまれり
 
午後の水 ぬるりぬるりと呼吸いきを吐く
 
橋桁の石置き場に吹く地下の風
 
夏も過ぎて くれなゐ残る花みづき
 
葉を別けて つはぶきの花ぬきんでをる
 
動くものは関連づけられてあるか 犬と人と球体
 
水も揺れず舟溜りの曇り空
 
あぢさゐを分つ白骨 さるすべり
 
 
[作成時期] 2007/10/29

〈解離手帖〉200112: (無明とは)

(無明とは)

無明とは椿のごとく寒雨なり

裏道の溝塀の底 見えざりき
 立つこともかなわじ 椅子に縛りつけられてをる

ちりんちりん 根付の響く師走かな
ちりんちりん 痛みを堪へる根付かな

横書きの詩は横書きに書け 縦書きの詩は縦書きに書くな 時代は旧りたり

[作成時期] 2001/12

緑字生ズ 168 (八重桜)

168

八重桜 夜の契りの炎の滴

別れ霜 墓地はだらなり灰まみれ

お粥腹、お粥腹 なんたるポリヒュムニアー

くれまどう水に流るる月、炎、首

はたたかな水に流るる草木と血の石

いまだしの眠りの夢よ 桜のいろ桃のいろ

はだごころ蛙のぬめりそのねむり

砂青く山吹に埋みて卒塔婆傾ぎ立つ

翳りなく流らう苦楽、血と百合と

墓をあばき、その生き魂の別の断面

雑体:020131110 : 「それでも一歩、ちかづく」の詩中句

「それでも一歩、ちかづく」の詩中句

○炎る夏かさねて夜もあかさたな

○年の瀬のあわただしくもあり切なくもありあり

○秋雷に攫はれもせぬ夜長かな

○送り火の蝉の形にをがらかな

○ゆめまくら疾走もものかは東風居士

○この齢をしていぢきたなくもへらへらと

[作成時期] 2013

雑体:020140918 : 最近の「おりおりのかけら」から

最近の「おりおりのかけら」から

○炎る夏かさねて夜もあかさたな

○齢ほど妖しくなりし余話のつゞき

○おくるものもなきつはものゝゆめまくら

○あからんのはてなきゆゑにちぢむゆめ

○あからんへひとりたびだつはてのさき

○あからうんあつけらかんのたびのはて

 友の身罷りて
 ――故沖田好正君を偲びて
○おくるものも なきつはものゝゆめまくら
  合掌
*8月10日19時、神戸にて永眠

[作成時期] 2014/08

雑体:020150408 : 最近の「おりおりのかけら」から

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最近の「おりおりのかけら」から

○ローズマリーの花が咲いてゐる

○セージはサルティンボッカ風に豚肉で巻いて

○自衛などといつて戦争の口実を作る 戦争で死ぬのはだれだ、人殺しにさせられるのはだれだ

○よささうで、どうだか

○最後まで、わくわくしてゐないと

○サーバーをバラバラにしたくなる

○時はコストなりしかと垂れて

○食感はねつとりしてつかみどころがないが

○齢ほど妖しくなりし余話のつゞき

○年寄りの冷や水なのだが、相手は感情ではない

○後半は部屋でゴロゴロ、雷が鳴るでもない

○まだ暗いけれども、夜が明ける

○なべて、イベントは断片にすぎぬなり

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雑体:020150502-0629: 最近の「おりおりのかけら」から

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最近の「おりおりのかけら」から

○取り返しがつかないのだらうか、船出をしたときから

○完成度といふのは、写真のやうなもの

○混交の雲の中から綿の繊維をさがす

○自然に出てくるものにしたがはうか

○自分のラインの中に埋もれてしまふので

○ハラールに影響されてゐるわけでもあるまいし

○オートマティズムとの濃厚なやりとりが

○もつと細胞の底から生ずる衝動を

○果物など買つてきてから、ペナンに行くことに

○雷雨が来てゐるので、食事にも出られない

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雑体:020160202-29: 最近の「おりおりのかけら」から

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最近の「おりおりのかけら」から

○一点に重なるとは包含と異なつてゐる

○重なることは全体性と反位してゐる

○それぞれは同化してゐない包摂されてゐない

○押しつぶされてゐるが すべての一点が、別々でありながら全体性を超克してゐる

○旅先で描いて 紙にアクリル絵の具だけになつて

○観ずること、存在の眼で考へること、直観であるといふことを

○奥方手作りの紅玉の砂糖菓子などふるまはれ

○油断ならぬが オプジーボの効果があるのやも

○老いてといふも失礼だが、ますます盛んなるか

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雑体:020160416 : 「擬宇宙論」から(1)

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「擬宇宙論」から(1)

破片(フラグメント)を露はにし異なつた位相を暗示せよ

量子(クァンタム)がおのれをカウントするやうに

○偶発性が実在の叫びを宇宙に轟かす

○緊縛された次元が別の形態空間に移行する

○物質がおのずから別の状態、宇宙相に変化する

○次元はそも理想化されたるスケールなり

○物質中に突如生まれた空間が裂け相転移する
 曲率をもつ次元が飛び出して

○ちぎれさうなひもエネルギーの強靭

○単一物質が同時に異なる位置に存在してをる

○極小は光とひもの波打ちて
 極大のユニバースはその状態の大変化なり

○全振動が解放衝動とキャンバス上で出遭つてしまつた

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