うらうらの声 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

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常欲する火の螺態
条痕うすく
蟲ばみのひとり語の
酷いあつさ 破れ天に
酸味の風崩をへばれて
粒らな光の軌跡に
微かな日輪の翔び音
ぼくは 翳のもつれる白昼
暗赤の〈声〉に 蒼褪めていく
すでに 乱れ空のうらうら
豊満な裸体の横たえ
生ま温い暖風の吹き通る
…………………………

花裂ける
薄透明の軟質の空
青い地面のぬけて映る
異物の導入部イントロ
《おれは
 声あげて
 白糸を無数に
 吐きつづける 一匹》
空空の絡めの生理 あの
黄光の気圏に
うわずった半音階の
こもり声

ほそい路地割れの
酸性の臭みが 胃の
透き通る薄襞を蔽い
路地裏の
点滅の花畑に
滞る 尖塔

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