旧作:197403: 魔の満月 第二部(習作)

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右を開けば 青い屍
左を開けば 赤い熱病
両眼の交叉するところに
うっすら拡がる 黄色人種の大陸が。蝙蝠の地帯。逆さ吊り。重層の海。紙・布の束ねた建物の上に、ふんわり蔽い、眼の塔は傾いだままこぼれおちる。矩形の山なみ。蟹の動悸。昔から、どこからとなく、茶褐色にふるぴた虹がそこここと降りつける。母なる月経。船型の家屋。聖霊どもの滑降。背中から尾へ開く魚の系、南十字の刺青。旋毛風。淫らな未来がおびき出す、首。山査子。冠。老人。癩の隕石がゆらめく。琥珀の正視。密談。早熟な朝。はじめは
                    はじめられたときから
                    ぬかるんでいる。戦き
閨声。光彩の無定形なは虫類の系。灰色涎。東方巡礼者。ひからびる不躾さ。というわけで、それは広大な原野に小さなそれを置き、酒場という酒場にそれをなげかけ、賭博場の隅でぎらぎら光るそれをつかみそこね、松明に照らされる殉死者の得意満面に唾吐き、それが能う限りの。とんでもない。まら。腹上死。おかま。冒険大旅行。(好きものの嫌い漬け)。杏の木に刻される、小舎の設計法。氷河期。音楽。壷。手拍子。化石の、密林の封じ込める、羅針盤。脳髄の漂泊。表白。谷間から、愛が、百合が、亡命が。あらゆる幻崖の透視体が、過去の霊体を察知している歴史の、あらゆる領域をすういんぐしている。交尾。死面。色事。直立猿人。生きている、いや死んでいる、変圧作用。太鼓腹。瘠せるる胸。屋根裏の村。毒の舌。家畜どもの、喉元の、樹皮。

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