未刊行詩集『strandにおける魔の……』02: 魔女の翔く

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魔女の翔く

大理石の ふつふつ
あぶくの唄う沼底に
横たわりてあるもの
満月の
光の管に吸い込まれつつ
魔女の翔く

地平線すれすれの深夜
植物のごとく生い繁る
星々の住まうへり
銀色のあぎとの嵌まり込む

割かれた大地
脂の河がゆったり流れ
満月のいびつさに慄える
光の渓谷が
産毛の波を走らせる

なんの吉兆
赤黒く脹れる暗雲の
吹き溜りの中を
夜会服に身を包んだ
妖しい女が翔く

白い棺の並ぶ館
動物性の熱い吐息が
螺旋階段の途中で
金属の打ち合う音とともに
その闇に呑み込まれる

まっ白な棺の蓋を開けながら
無数の渦を解き放し
沼の面すれすれに
女の影が浮かび立つ

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