未刊行詩集『strandにおける魔の……』02: 魔女の翔く

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夜空をめがけて乱反射する
萎れきった脂の河が
ふたたび世紀をとりもどす
銀の釘をはじきとばし
棺の館が開かれる
死のものはよみがえり
死のままに
生あるものを支配する

ふりそそぐ
無限にふりそそぐ魔の呪文が
光となってふりそそぐ
世紀から遮断されたその夜のうちに
魔の洪水となってほとばしる

満月をくわえこんで
脹れあがった妖しい色の女たちが
無造作におたがいの内部へと溶けはじめる
星々は 平穏な光のもとに還りはするが
魅入られ 憑かれたまま
ちぐはぐに交錯する

交わった自然物のぬけがらの自然!

周到なる計画のもと
夜の空を支配する
白き腕もたおやかな
魔女が翔く
暁闇の
地平線すれすれの灼熱こそ
真実の獲物
ひくひくひきつる咽喉の奥に
残忍な呻きをたたみこみ
血のような眼光をたたえて
魔女の翔く

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