未刊行詩集『strandにおける魔の……』03: 女陰

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女陰

つつきでる顎
その落下
ささらさら 月光の波紋
なにごともなく水の朝が這い出てくる
ぷるっ 蛙の背の淫らな飛沫
翔破するものたちは
魔への階梯を裁断し
遠く 静脈の凪に……

ほほろほろ
剥がれつづける虹
金色に灼けた空がこわれて
ははぐくむ虫 星 不死
月という屍が
声あげる

きらめく夢の尻
小宇宙の謎を呑みほすもの
ほほとばしる腐敗
ききりさかれる谷間
くくらくら 青い動悸に
早朝は消化されて
魔の食道こそは
人民の涙を醗酵させる
地下室の悪意

じじくじく蝕まれた太陽
垂れこめる霧の膿
紫色の液体があふあふあふ……
ひとがたの岩がぬらり
気圏のぱぱしぱし
影を屹立させて
いま 宇宙の全貌がしめつける
午後のしなやかな革紐が

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