(東風1989)

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化石ではない現存の 哲学的な
思想家 行動者で つよくつよく
壊れかけた椅子 割れたガラス窓の
奥の狭い部屋で 家族はいるかいないか

小さなテーブルを囲んだ家では
八角茴香(アニス)の香り
にんにくや、その他の刺激的な
皿に盛られた包子(パオズ) 上半身裸の父親

ラベルのない緑色の壜 生温かいビールの
裏道はだんだん狭くなり 蟻塚は数を増す
ここのとんでもない数の人間を 権力で
抑えきることができるのか

そんなことなどできない!

幼年期は いくらでも夢を食べて
黄金時代だとか 留守状態を考える
満たされた者とは だれだったのか
を知りたいとも考えずに

いつだって 本人にしかわからない
そう信じて 駅の線路を渡ってから
右に曲がって 少し行ったあたり
夢の中に出てきて 不思議な気が

過去に返ってきても
散弾のように ことばをばらまいて
突き当たってしまいそうだ
汚れた石の壁 蛸壺の住処に

長屋だ ところどころに水場が
ここで水を汲み 洗濯をし
共同便所があり フランスの犯罪
アルジェリア問題について

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