未刊行詩集『strandにおける魔の……』04: 魔の系図

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III 黄金の銅鑼

王宮とはほとんど銅鑼である
だから首は庭師である
老獪な庭師こそ
墓守の職務を全うする

ある晩のこと
茨の棘が宮殿に忍び込み
八つの首を持つ女王の歓心を買おうと
八つの眼を土産に口説いていると
部屋付の占術師が目を覚まし
その茨が先王の棺から生え出ていることを調べあげ
墓守の首を手ひどく絞めあげ
務めへの自覚を促すと
茨の棘は 夜ごと
占術師とたわむれることになる

出航を告げる銅鑼の王宮は
このときばかりは
恍惚の黄金となって
水夫どもの睡りを妨げはしない

IV 湖は水晶の液に盈つ

おくゆきのない白夜に
のっぺり貼りついた月が
赤い凧を降らせる
無数の凧には
いくつものひきつった顔がくくられ
なまぐさい風に吹かれて
深い大陸の峨々たる山脈の
屈曲した渓谷の遥かな奥の水のみなもと

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