未刊行詩集『strandにおける魔の……』04: 魔の系図

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楕円形の湖に
ひらひらひらとすべり落ち
冷たい水面に貼りついていく

湖を支配するのは足である
だから 足に蹴られて
顔どものいくつもの顔は
醜くくずおれ
肉片が凧全体を蔽い
あたりに舌や眼球をばらまき
湖は
臓物鍋のようにぐらぐらだ

凧を残らず喰ってしまい
きらきら輝き はりつめた湖水は
水晶のように凝結していく
白夜にのっぺり貼りついた月は
湖の燦きに色を失っている
すると なにものかに操られて
湖が ふらふら舞い上がる

V 白い空の円天井の鏡

全星座が墜落する
宇宙の素地が
さわさわと繊毛を吹雪かせて
いま 光ははじき返される
大理石を敷きつめた空が
明瞭なる白夜
囚われの闇

王国という歴史の焚火
鍋もぐつぐつ熔けている
王国の起源は

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