未刊行詩集『strandにおける魔の……』08: 宛名の魔(名宛ての魔)

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雑種犬の赤い眼にとらえられ
(とらわれ)
(スピーディに)(見捨てられる)
急速に見捨てられる景色
呼鈴が
(蒸気の)湯煙のような
とらえどころのないぬくもり
(尖った林)
林の中から(林を)歩いてくる
(歩きつづけ)
(茎のない)
茎のない(毛根)根だけの生き物が
養魚池の水面に
映しだす 灰色の(被膜)屍(空色)
渓谷には
淫らな(淫らな)(緑の河川)
緑の河川
(                            )
だが(だが)
(宛名の)
宛名が記す住所録の裏側に(に)は
(いきいきと)
生き写しの反転活字の
(反転活字を)(ブリンクする)
(貪り啖う 小動物が)
小動物が
(埋め込まれては)
埋め込まれているではないか

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