未刊行詩集『strandにおける魔の……』09: strand における魔の……

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strand における魔の……

浜辺に 磁気帯びる魚
繊い吐息 転がる無数のガラス玉
棘のある尾 棘のある砂の
棘のある毛が
崩れ落ちる
列をなして天上に消える熱

strand における魔の
褐色の爪 唇 真珠
ひからびた腔腸動物の死体よ
ナイフが反射する光
その先の 心臓という石
数々の背中が埋められ
青まだらの空 赤まだらの海

奥行きのない波がよどみながら
砂州の窪みにとどこおり
放射状に水をおかす
おかされて溶ける
錆色の渦

埠頭という石積み
黄昏の日差しが
雲の切れ目と水のわかれをむすぶ
ただその地点だけに眠る
神々の不倖な幻想

この地図の皺
指の脂のモザイク
鈍い光沢の尾根に沿って
strand における魔の
干渉作用が
引き裂いてゆく
反り返る紙の裏 薄いへり

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