自由とは何か[004]

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 横たわるあなたを愛撫したとしても、私があなたに重なったとしても、私の表層が壊れてしまうわけではない。私は逃げられないし、そのことを知っているからここにとどまっている。ただ迷っているということなのかもしれない。それでも私はあなたの内部に囚われている。私が望んだもの、欲望したもの、命じられたもの。あなたは崩れようとしている。切なげな表情と喘ぎとで。
 私はあなたに人間的な親愛を覚えているわけではないし、またあなたがそれを望んでいるはずのないことも充分理解しているはずだ。私はあなたをたしかに包摂しているのだから。

 ――わたしはあなたの表層と接点を持っているだけで、あなたとはつながっているわけではないと、どうしても思いたいわけがあるのよ。わたしは、その理由について、わたしから言いだすことはありえないのだけど、たしかに強い理由があるのを知っている。わたしもあなたを愛しているはずがないし、これからも愛するはずのないことも、またあなたを憎むこともありえないはずだもの。わたしはわたしを、あなたと区別する必要があるのよ。わたしはあなたに侵略され、屈服させられ、あなたを埋め込まれているからだわ。これは屈辱であるけれど、おそらくあなたにとってもあなたの汚点――。あなたが愛しているのはそのことなのかもしれないのよ。

全面加筆訂正(2011.12.23)

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