不眠の森――「dance obscura(仮)」へ

1 2 3 4 5 6 7

 そこらをごろごろ動き回る独立したサディの頭部、あらゆる細胞に均一に重なるDNA。際限のない「サディ現象」の繰り返し。生命とは、生命の現実とはそのような執拗さがなければならないとでもいうように。そして夜の暗箱がますます濃密になる。
 そう、そろそろ、触れなければならないところにきたのだ。

 生殖細胞、癌細胞の増殖の驚異的な速度、勢い。私だけではなく、身辺の人間にも狙いをすまして、凄まじい弾丸の嵐を浴びせてくる。樹状突起を激しく活動させて、組織の中を、血管の中を移動して、定着していく細胞たち、変異する遺伝子たちよ。
 取りつかれた細胞の戦闘は、無尽蔵の死体を作っていくのではなく、相手の細胞膜から攻撃物質を侵入させ、核にある標的物質を変化させて、それを基点に相手を解体し、さらに細胞膜の外に漏出させ、血流やリンパ管の中に昇華させるのである。

1 2 3 4 5 6 7