ベルナール・パスケ(散文詩)

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 パスケが計画的な強盗殺人犯として裁判に付されることになったのは当然のこととしても、それが実証され終身刑を求刑しても、それが全面的に裁判所に入れられるのは容易なことではないはずだ。事実、裁判所は屋敷の主人の殺害と金品強奪、屍姦の罪だけを問題として、ただ疑惑の大きさについては疑問を残したまま、終身刑だけは避ける判決を申し渡した。こうして、パスケは懲役十年を受刑したのである。

 ところで、この逮捕の二週間後に、ヌイイーの警察署の取調室で最後の尋問が行われた。鉄格子の窓からはいくぶんか涼しい風が入り込んでいて、近くの庭園から夏の花の深い香りを運んでくる。
 いくらかふくれ気味のパスケは捜査係のクリエ警部にシガレットを所望した。これは逮捕されてから一度もなかったことだ。どのような信心からか、ベルナール・パスケに言わせれば、「シガレットなど魂の下品さとでもいうべきもの」なのだ。それで、この二週間、取調官の勧めにもかかわらず、烟草を口にしたことなどなかったのだ。だから、係官は、これは落ちるぞと直感的に感じたと、後から振り返っている。しかし、パスケがなんらかの精神的な圧迫感に打ちのめされていたという証拠はどこにもない。それでも、彼がなにかの理由でシガレットをくわえることになったのは確かである。
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 その日の夕方には、ベルナール・パスケはパリ警察に逮捕された。容疑はまたも強盗殺人である。一週間前、取引先の老夫婦のアパルトマンで夫婦二人とメイドを殺害、宝石と現金を盗んだ容疑がかけられている。
 五十四歳のパスケは最初否認していたが、ついに自白することになった。そして、パリ警察は本人を連行して、ふたたび詳細な家宅捜査を行うことになった。その結果、地下室の床下に三年前に行方不明になっていた妻のカトリーヌが埋められ、その壁には三カ月前に行方不明になっていた知人の不動産屋ピエール・マルクリーが埋められ、白いペンキで塗り込められていたのだ。

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