魔の満月 iii – 2(至高の秘儀ともいうべき王家の……)【詩篇「魔の満月」最終回】

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甘やかしては位が下がる
星空を凝視すると全天は滅亡する
エルドレは五番目の最後の彫像に乗り移る
滅蝋法でできた類稀なる美女
ナイフ使いがこの美女を穢す全能の神である
おお 胴のない頭で人を喰い 嚥み込む前に毒が躯に回る大食漢
泥漿をかけて焼かれた縄蓆文のある三足の黒陶が砕ける
乙女の胸から零れ落ちたのである
美女の体内で エルドレはこれまでの生贄のような身の毛のよだつ末路を期待する
男は指先に鉄の鉤を填めると 女の紗の衣を引き裂く
股を大きく開くと 黒々と生い茂る繁みの中でふっくらした白桃が実っている
おびただしい巨大な眼が開かれる
溜息さえ洩れるようだ
乙女は恥辱のあまりに失禁する
乙女に憑いたエルドレは昂奮する
乙女の器からとろとろと蜜が流れる
蓋も開き始め 薔薇色の果肉が覗く
女らしい喘ぎさえ聞こえる
ばいふく
静謐の一時である
素早い業でナイフ使いの右手が辷り込む
乙女は激痛が走るのを知る
裂けんばかりに瞠若する
苦悶の叫びすら出ない
男は力を罩めて子宮の奥まで腕を貫き 掌を大きく開いてまた結ぶ
乙女の声帯から血が吐かれる
あの鉤爪が襞筋に喰い込んでいるのだ
そのまま右手を引き抜くと 血塗れの膣の内壁と子宮が裏返されて躍り出す
ナイフを器用に揮って くるりと根元から抉ってしまう
世紀の美女は絶命する
ただ一度の悦楽と苦痛とを記憶しながら

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