見夢録: 2016年02月02日-29日

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日録■2016年02月02日-29日

■2016年02月02日 02:00
【かけら】
一点に重なるということ。
重なるということは包含されるということとは異なっている。
包含は全体性の概念だが、重なるということは独立[自立]存在でありながら、全体性とは反位している。
あらゆるそれぞれの存在は一点に重なり、同化していない。包摂されていない。押しつぶされているが、外延的なすべての一点が別々でありながら全体性を超克しているのである。
時空も宇宙論的次元も極小の始元も、ただ一点に収束している。
これが存在のほんとうのありようなのかもしれない。

■2016年02月05日 01:41
【かけら】



acryl_2016_02_01, Akira Kamita, 2016.02., paper, acrylic,408 x 310mm

2016年02月05日 01:55
【かけら】
アクリルの研ぎ出し。
最近、旅先で描いていたので、紙にアクリルだけになってしまった。
しかし、油絵のときと同じに、研ぎ出しの手法は相変わらずだ。
紙はアクリル、油彩用のもので、しっかりしている。

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寄稿: 佐藤裕子 「風信」

風信 佐藤裕子

スポイト状の杖は衰えた巻き舌馴れぬ喧騒が心拍を上回る
 蝋燭のシャンデリアを片端から射落とす猛禽の回想
風景を剪定し展望を正す慣わしは老境の余暇にも間断なく
 砕け易さ危うさで堰を切り陰画を明かす不用意な躁
無秩序な貪欲が引き摺る盛装は白砂の岸まで徘徊する混濁
 迎える旧市街が青山を耕し行人に数行の号外を渡す
触れた物が金になる右手抱擁で逃れ賢者は飼い殺しの懐中
 隙ない体裁を謀で支え青い額で覆した金魚鉢の顛末
群れに見る暴力は密告と口封じで祭り祭られる番が訪れる
 ふと折れ途切れ切り岸に佇み伸びる影タイトロープ
膨らむ尿意を跳ね橋へ追い立てもう行列が歓声に追い着く
 綱渡りで抛る一足枯れた川向こうから危急を告げ梟
生まれ変わりは屍骸から生まれる惨たらしいほど賢明な王
 罪深いほど許される遠退きに建つ城で炎に浮く椅子
空隙で綻びた一輪挿しが束の間を握る星座の形を記録する

(2016.3.13)

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 007

寄稿: 佐藤裕子 「傍ら」

傍ら 佐藤裕子

誕生日右側に視野を分け与え眠る一人に一人が譲る羽根枕
 影と光の制服を着てわたしたちは迎えを待っていた
若返る女神を吊り下げた地下室精霊に扮し姿を失った父親
 半分ずつ味わう落胆と諦めへ吸収された本当の母様
立ち眩む頭上は何重の軌跡挨拶を早める型通りの明くる朝
 花吹雪が騒がしい裏庭から小波を曳き逃げる地平線
触る聞こえる見える隔て境目のない充溢から抛られた露わ
 可能性の怪しさを潰す外片寄り過ぎる遠景を断つ赤
姉であり心細い震え見知らぬ者か同い年の妹遅咲きの球根
 策を弄さず無垢は迂闊な命乞い愛玩物が備えた数多
隠れて泣くのはあなたじゃない可哀想な子はわたしだから
 短日月の幼年期を繭籠りで長引かせた回廊の賢しさ
抱き締め擦り抜ける温もりが失われぬよう互いを包む帷子
 謎謎が尽きやがて迎えは来る片方が消える娘たちは
花束の凋む火点し頃窓を開いて温雨の破線を一心に紡いだ

(2016.3.13)

寄稿: 佐藤裕子 「石の囁き」

石の囁き 佐藤裕子

緑灰に斑が入った卵を呑むと目礼がひとつ走り野の始まり
 日向で干乾びた長い舌に幻肢を与え包囲する働き蟻
清らかな物は胸を抉る思い掛けない汚れを暴く夥しい正視
 屍骸を喰う腐葉土で肉化する声耳の数ほど多情な趣
逃げても探しても森から帰っても帰らなくても日没は門限
 息絶え寝室は乱丁した備忘録省かれる予鈴取り次ぎ
枝折りを忘れ踏む花に新しい花片を散らし誘き出す嗜血癖
 煮溶ろけた起床就寝の歯車食卓で荒び萎えた好奇心
光は燃え硝子の灰焼けた眼が諳んじる鳥瞰喉に戻る物の形
 死斑は滴り歪な球形を並べる啄ばむ嘴に深海の染み
均衡を支える両腕が飛び火を防ぐ傷口を開き生じる羽撃き
 鳥葬の台で独り妊る禁じられた問いは錠に重ねた閂
苦く膿んだ鍍金を嘴で剥ぎ窓を転げながら発達する複乳腺
 沈めた木漏れ日を川底に仕掛け大樹を昇る寡婦の星
褥は空席鳥も女も錯誤の仮眠一夜と数えられる坩堝を彩り

(2016.3.10)

擬宇宙論:5520: 重力のリバウンド

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重力のリバウンド

重力とは引き合う力ではなく、引き離す力ではないか。外へ向かう力、分割する力である。
無の中から確率論的に物質(力)が発生するとは、無の状態から引き離す途方もない力、無を否定する力が必要となるに違いない。
あるいは、無である状態からすべてを奪い取って、無でない状態を無理やり創り出すための、無の全エネルギーが物質化するということではないか。これは、無という全エネルギーの虚状態が発火するということになるのだが。
このときの、引き離す力、あるいは無でない状態を作り出す力は、遷移したこの新生の存在にかたまりとして凝縮する。つまり、このかたまりは全宇宙のエネルギーそのものとなる。
それは、その外部に何も持たない、無さえ持たない全存在である。ただ内部に全エネルギーを胚胎させ、そのサイズさえ持たないもの。いや、サイズは比較すべきものを必要としているが、そのような対象もなく、それ自体が全体の一点として。
そのような形式で、それは量子状態をもつ。つまり、量子状態をつくるエネルギー、確率の全エネルギーを自らに抱え込んでいるわけだ。
そして確率論的に反物質が生成されるとき、自らの高エネルギー状態の力によってその発生の原因となるのだ。対称性として反物質を生成することで、初めて外部に物質を持つ原発的な宇宙像が誕生するのだ。

物質が反物質を生成するとき、あるいは物質が分裂するとき、それぞれのエネルギーは分割される。物質間の重力も分割される。
量子状態において、ある確率でインフレーションとして増殖的に分割・拡散する。そのインフレーションは重力をも同時に拡散するのだ。
1の重力は10-nに詳細化、分散化する。だから、重力は外に向かって細分化し、弱化し、物質の間隔は離れていく。
このとき重力は外延的な力である。しかし、その総体は原発的宇宙像の1という値だ。つまり、この1の力が全体であり、宇宙そのものの重力であり、そのサイズは原発状態である空というプランクサイズなのである。

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寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その3)」

【skr??l】(その3) 金石 稔

昨日(平成26年3月1日)
純白の風に包まれた海
(のような時間がはじまり)
音はまったくしない
パターン化された幾種類もの鳥の
羽根が貼られた白い壁が
ゆれるばかり
ビロードのカウチのことが思われる
その上に裸の少女が横になり
誰も覗くもののいない窓から
誰か夢見がちに(だから、エロチックに)
その子を跨ぎこす
田園とそこに流れる小川をただちに
左手にずらし
場面から外す
この少女の物語は未完だから
書いたひとが描いたのは
顔を洗いつづける自分
彼の座った椅子がぽつんと一脚
平原にある
その上にだけ繰り返し秋が
訪れ
いまは翼のある豚が
座っているのが
見えるか?
明日が来て

(2016.3.4)

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 005

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その2)」

【skr??l】(その2) 金石 稔

アルメルメリ
左右のひでり抜けて
仮名づかい色づかい
たをすく水
ススキしなる目元の
岸辺
ヒタヒタラ
どこからも遠いほのおの影々
追いすがる
カルカル
かたすぎて(註。肩、潟、過多、ありうる文字その補化)
おのおのの
おのうえの
ぬめるのどをのぞく
真夜中は一陣の風の名だとおもう
あるいは肌のきらめくくらがり
そうてくらがりを
あたためて拭き
去って笑う
ワレワラワラワレ
耳のうらに
ねずく(埋まる?蹲る?)ひかり粒
ひとつさえ見過ごして
声の色
、、、、
テンテン。
そして・・・

(2016.2.29)

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 004