Large Work 10: Remote power

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〈測定ノート〉200201: (化学反応)

(化学反応)

化学反応
不完全な存在であるところの
人間は
ただの化学反応の集合体
精神も肉体も
ただの化学反応

現実を客観的現実として構築するのも
脳の化学反応の働き
妄想を心的現実として構築するのも
脳の化学反応のひとつの結果
この違いは奈辺にあるのか
違いどころか
現実が化学反応の結果であるから
やはり、宇宙は脳内化学反応でしかない
現実が物理的に存在しているなんていうのは
どうも眉つばだね

[作成時期] 2002/01

〈測定ノート〉200101: (芸術が)

(芸術が)

芸術が永遠なんてのも嘘
芸術は人類とともに滅亡する
音も、像も、言葉も、人類がいなくなれば
その形跡だけが残るとしても
それを受け止める環境が同一である保証はない
音の解釈、光の波長、言葉が展開させるもろもろ
これらは生命の存在形態が異なれば
認識されもしない
思考の記録は残りうるが
何も伝わらないし、何も喚起はしない
化学反応が永遠に同一なんてことは
ありえないからだ
たとえ
化学反応以外の情報処理であっても

[作成時期] 2001/01

〈美術衝動: 文〉物質創造の大版画家・小口益一 (追悼)

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物質創造の大版画家・小口益一 (追悼)

版画家・小口益一氏, 2008

版画家・小口益一氏, 2008

 物質のありかをぢかに触れるなり

 小口益一は版画という方法を用いて、平面の転写にとどまらず、オブジェからオブジェ、つまり物質から物質への転写を用いて、物質の創造にかかわってきたようである。
 いうまでもなく、転写はDNAの複製による増殖・生体創造のみならず、量子宇宙論においては対称性に深く関与するものである。粒子と反粒子との対称的な物質創造にも等しく、宇宙は転写による対称的な物質創造・増殖・複雑化によって137億年の歴史にいたったともいえるかもしれない。
 小口益一はこれを創造のための技法として、物理的宇宙ばかりではなく、物質-反物質の分裂・増殖の構造を芸術的方法論として打ち立ててきたのである。

 2005年11月、小口益一「鳥の舞」展(小野画廊・京橋)で、リノリウムに転写された(連鎖する原版ともいうべき)「黒いかたち」(縦112センチ)の作品2点に出遭ったときの衝撃を、私は忘れることができない。やみくもに体の芯からじわじわと湧き上がるものがあり、それがついに涙となって溢れ出たのである。
 美術作品の前でのこのような経験は私にとって未曾有の出来事だった。それは、無数の点や線、宇宙情報とでもいえる記号で傷つけられた版面に、それこそ太い漆黒の帯が強い圧力で画面を捉え、それらのたしかな造形要素ばかりではなく、オブジェとしての作品全体が圧倒的な実質を現前させていたからである。
 そこには、小口益一という版画家いや造形家の生身の力の強さ、おそらくそれらのことをも超えた実在の衝撃力そのものがあったからなのだろう。そして、その作品には、それ以外どこにもないということ、つまり絶対的な独自性と自由があったのである。

 すでにこのシリーズは1968年にはスタートしていたようで、私への手紙のメモに、「昭和43年、彫刻作品集『黒いかたち』、石膏・ブロンズ・石膏レリーフ」とあり、それからすると、この版画はレリーフの転写、まさしく彫刻作品としての版画であるのかもしれない。

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Large Work 09: B(a|o)ndage

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〈測定ノート〉200201: (こちら側から)

(こちら側から)

こちら側から突き出ていくものと、向うからやってくるものとがキャンバス上で出会う。
見る場合も、そのような作品からやってくるものと見る者の側から「衝き動く」ものとが空間で出会う。

向うからくるものとは、神秘性、もの、コンセプト、あらゆる形象化したがっているエネルギーであり、これは自ら形象化する力がないから、作家との出会いを求めてくる。弱い自らを、か弱い「光」のルールで光の仮の世界で存在を示すという悲しい物語。
作家は、これも、描く衝動、自らの創造力の強い衝動に打撃せられている。
具象も、抽象も「ものを写す」ものであるが、ここでは「写す」ではなく、造りあげる行為、いわば作品行為がある。

事象はか弱い。事象は人間認識においてその存在を示す。そして、認識とは脳の化学反応である。

[作成時期] 2002/01/99

〈解離手帖〉2001: (もの思わしげな)

(もの思わしげな)

もの思わしげな男の
うつむく角度の首の線
夕暮れの薄雲の色に映された
古い都市
ロマネスクの教会
ゴシックの尖塔
異端者の船出

紙の表面に泛ぶ油紋
物語の綴れ織り
浮かび上がる意志か
妄想を重ねる思考の影か
その頁に印刷された
オナニストの詩人の数行の詩

[作成時期] 2001

Large Work 08: The ambition and greed of DNA living entity

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〈解離手帖〉200105: etude群について

etude群について

稲光のような切実な白昼があって油絵具を買うことにした
八号の練習用キャンバスの白い表面は炎と激しい残火のせめぎあい
筆跡はオイルに滑る初めてのスケーティング、渦、トンネル、何世紀もの記憶
影と線が重なり合い、色が重なり 誘き出される妄想の破片
黒く黒く、うす汚れていく
発色が、刺激的な、高揚する煽情的な発色が欲しい、オイルを過剰に、過剰なオイルの海の上で絵具は疾る
ナイフが発色を追い求める!
建物の幻影から火が立ち上がる
炎の色が、黄昏の睡りの直前の狂気が 海の溶ける血の光……
形は色によって造り出されていく
魚が動きだし、植物の連なりが岸辺のゆるいカーヴを描く

[作成時期] 2001/05